無料ブログはココログ

2006年9月 3日 (日)

電波監理審議会に注目

ども、ご無沙汰してます。パブリックコメント出しちゃったら、いきなり更新意欲が失せました。
元々自分のパブリックコメント書くための備忘録として始めたブログなので、自然な成り行きっつうことで、お許し下さい。

更新さぼってる理由はもう2つくらいあって、

1.京都大学のちゃんとした研究報告が見つかったこと(俺様広場で拾い物)

で、読んで見ました。うーん、まともです。実験もやってます。「まとめ」だけでも読む価値があります。ちゃんと
「屋内電力線に含まれる片切スイッチ構造が顕著なコモンモード発生源であり」、
「コモンモードチョークの漏洩電界低減効果は、あまり期待できない」、
「漏洩電界を軽減するためには、送信電力の低減こそが重要である」
と結論されています。
あっ、どこから引用したかちゃんと書かないとまずいですね。電子情報通信学会のデータベースで調べると、今年の3月9日に環境電磁工学の研究会で報告されたもののようで、EMCJ2005-145という資料番号がついています。(2005年度っつうことでしょう。)
何か見覚えのある研究会ですねぇ。そうそう、昨年の総務省のPLCの研究会でも、ここの報告が沢山引用されてましたっけねぇ。特に、あの怪しい5章あたりで。ということは、CISPRの先生方も、当然、この報告のことはご承知のはずですねぇ。CISPR委員会で議論している、まさにベストタイミングで発表されていたわけですから。

この報告の内容で、ちょっとだけ補足があるとすれば、分岐によるLCLが最悪10dBだったっていうのは、あくまでも「この研究報告で検討した例では」っていうことです。実際には、以前お見せしたフォールデッドダイポールのように、もっと最悪の場合があります。

ちゃんと考えると、「ディファレンシャルモード電流を規制しないといけない」という当然の結論に到達することが分かって、少しほっとしました。CISPR委員会があまりにも的外れな結論を堂々と情報通信審議会に報告して、それが通ってしまったりするものだから、マックスウェルの方程式が成り立たない別宇宙にでも迷い込んだのかと、SFファンの私としては、ちらっとそういう妄想が浮かんだりしたのですよね。と同時に、只の技術者なんぞがくどくど説明せんでも、もうPLCの真実が知りたければ「この報告読んどけ!」っつうことで、サボりの言い訳その1です。ペコリ。

2.電波監理審議会の意見聴取で、ちゃんとした指摘が行われた(らしい)こと

これは、まだ伝聞の段階で、自分で確かめたわけではないのですが、8月23日の電波監理審議会の意見聴取で、大阪大学の北川教授から今回の改正案に対して学術的な反論が行われた模様です。当日陳述した方のレポートからは、具体的な反論内容までは分かりませんが、少なくとも、上に書いた京都大学の研究報告も引用して「力説」されたそうなので、科学的に有効な反論がなされたと期待したいです。

この意見書(っていうか準備書面)は、電波監理審議会のWebでは公開されないんですかね。既に開催されたものを見ると、意見書っていうのが公開されてたのですが、あれっ、これは意見陳述者の意見書じゃなくて、主任審理官の名前になってますねぇ。しかも、「下記のとおり意見を決定する。」っていう文面、何か判決文の趣があります。そうすると、意見提出者の意見そのものは、本人が公開でもしない限り、見ることができないのかなぁ。利害関係者っていうこともあって、やはりダイレクトに公開は不味いのかなぁ?それにしては、傍聴者が居たって言うのがよく分かりませんが。もしかしたら、閲覧くらいはさせてもらえるのだろうか?

いずれにしても、最も危惧していた、誰も本当の問題点を指摘しないまま、とんでもない法令が出来てしまうっていう最悪の事態だけは避けられたようです。で、ちょっとホッとして、更新サボり言い訳その2でした。

後は、主任審理官の意見書がどういう内容で、電波監理審議会の委員がどのような判断を下されるか、次回の電波監理審議会が注目されます。ここで、判断を誤れば、日本の科学技術史上に大きな汚点を残します。

P.S. 私はPLCそのものに反対しているわけではなく、その科学的真実を追究している者です。今のところ、科学的に根拠のないPLC推進には技術者として巻き込まれたくないので、そのようなスタンスで書いています。しかし、科学的根拠によらない単に感情的なPLC反対にも巻き込まれたくありませんので、そこんところよろしく。

2006年8月11日 (金)

PLCモデムにコモンモードフィルタをつければ電波は出ない?!?

えっ、漏洩電界低減技術って、単なるコモンモードフィルタのことだったの?
えっ、しかもそれって、モデムのところに入ってるだけなの??
えっ、その後ろに何がつながっていても電波出ないって???

もう、唖然の3乗くらいです。
これは、明らかにアマチュア以下です。
(失礼な物言いお許し下さい。最後まで読んでいただければ分かります。)

このブログをはじめてから、いろいろ検索してるんですが、最近はアマチュアでもインターフェア対策として、コモンモードフィルタをお使いの方が多いんですね。これは、非常に良いことだと思います。アンテナが不平衡の場合、アンテナのところで、ディファレンシャルモードからコモンモードへの変換が起こりますから、そのコモンモードが給電線の方に戻ってしまうと、給電線がアンテナになって輻射してしまうので、不味いですね。それを阻止するには、給電点にコモンモードフィルタを入れるのが有効です。

ところが、アンテナが不平衡か平衡かに関わらず、給電線のコモンモードは不平衡なアンテナのようなものですから、アンテナから輻射された電波を拾って再輻射してしまいます。ですから、昔はこれを防ぐために給電線を地下に埋めたりしたんですね。最近では、コモンモードフィルタというかフェライトビーズを給電線の両端に入れてる例が多いようです。厳密に言うと、再輻射を完全に防ぐには両端だけでは不十分で、λ/4毎に入れる必要がありますが、さすがにそれをやってる人は少ないようです。

両端だけでも意味はあります。送信機側のコモンモードフィルタは、再輻射を防ぐというよりは、給電線を逆流してきたコモンモードが送信機に悪影響を与えるいわゆる回り込みを防ぐ意味で挿入されています。

それで、本題のPLCに戻ると、PLCの漏洩電界低減技術って、要するにコモンモードフィルタをモデムのお尻に入れるっていうことみたいですね。正直言って、呆れました。これって、結局、「送信機と給電線の間にコモンモードフィルタを入れれば、給電線のさきにどんなアンテナがつながっていようが、給電線からもアンテナからも電波は出ません」って言っているのと同じことですね。いやー、参りましたね。さすがに、ここまで酷い勘違いをされると、フォローのしようもありません。これはもう科学とか技術の世界ではなくて、迷信とか妄信の世界ですね。

こんな初歩的な勘違いが、こともあろうか総務省の研究会とかCISPR委員会で、平気でまかり通っていることに、驚きというか恐怖を感じます。この国の科学技術は、確実に空洞化してます。耐震強度偽装や薬害エイズ、へたれ牛BSEなど、他人事かと思っていましたが、そうじゃなかったんですね。日本が誇るエレクトロニクスでも、確実に病気が進行していたことになります。しかも、CISPR委員会という電磁障害問題の中枢を担う超エリートの専門家集団も、国側でその責任を担っているはずの総務省の電波環境課も、誰一人として、この初歩的な間違いに気づかないとは、大変恐ろしいことです。私が、もしも総務大臣ならば、これらの無能な人達を全員即刻くびにして、総入れ替えします。竹中大臣聞いてますか?

今日締め切りのパブリックコメントですが、これはもうPLCに賛成とか反対とか関係なく、良識あるエレクトロニクス技術者として、きちんとしたコメントを出さないと、本当にこの国はおかしくなってしまいます。

2006年8月 8日 (火)

PLC:賛成か反対か以前に間違ってるんですけど

前回のフォールデッドダイポールはMMANAで追試していただけましたか?この根本的に間違ったPLC許容値案を葬り去るために、どうぞご自由にお使い下さい。このままお使いいただいても結構ですが、条件を変えて計算した結果を提出していただくと、それだけ多くのデータが集まるので、説得力が増すと思います。例えば、周波数をどの程度ずらしてもアンテナとして働くか?ダイポールやフォールデッドダイポールは、広帯域アンテナの部類に属します。(アマチュアの皆さんはVSWRを異常に気にされるので反論されるかもしれませんが。) それから、お見せした例は、両側の長さがほぼ等しくなっていますが、実は、これを多少非対称にしても、それほど特性は変わらないはずです。そんな丁度同じ長さの配線なんかあり得ないという反論が聴こえてきそうなので、予め非対称な場合の計算もしておいて、幼稚な反論の手間を省いてあげましょう。それから、お宅の配線に実際にフォールデッドダイポールになりそうな部分があれば、その実寸でのシミュレーション結果も説得力があるでしょう。

今日は夜中からココログのメンテナンスが入るみたいなので、MMANAのアンテナデータのダウンロードはお早めに!

パブリックコメントと意見聴取申し込み(準備書面の提出)の締め切りが11日(金)に迫ってますね。今回提案されているPLCの許容値(規制値?)は、高周波的な考え方が完全に間違ってますので、PLCに賛成か反対かに関わらず、この許容値にはノーでしょうね。PLCに賛成なら、なおさらノーと言うべきだと思います。間違った考え方で、甘過ぎる許容値が決まっても、出荷即リコールとなるだけで、何も嬉しいことはないでしょう。それとも、いくらリコールリスクが高くなろうが、論理的・物理的根拠が全く無かろうが、許容値は甘ければ甘いほど良いなどと、考えている人が今時いるのでしょうか?40年前の公害の教訓を忘れた人がいるとは信じられないんですが。

今回は、パブリックコメントと同時に、電波監理審議会という(これまで本件を扱ってきた電波環境課とは比較にならないほど)信頼できる審議会の意見聴取が行われるので、前回の研究会のようないい加減というかゴミ箱に捨てるような扱いをパブリックコメントに対してできないはずです。もしも、同じ意見が両方に提出されていて、電波監理審議会の方では真摯に公平に考慮されたのに、パブリックコメントの方では前回のように木で鼻をくくったような回答や、都合が悪いので無視して公開さえしないというような対応を総務省が取った場合、どうなるか考えて見てください。ですので、前回のパブリックコメントを完全に無視された人も、がっかりしないで、同じ内容でも、「前回無視されたがここが納得できない」と明記して、もう一度提出してみる価値が十分あると思います。なんせ、研究会は結論そのものが間違っていたので、その間違った結論に基づいて却下された正しいコメントは無数にあったはずです。

さすがに、いっかいの技術者に過ぎない私でも、この案の本質的な問題点にはすぐに気づくくらいですから、学識経験者や利害関係者のみなさんが、まったく気がつかないということはあり得ないと思います。というか、当然気づいて、意見聴取に出席して、少なくとも私が気づくくらいのことは、陳述していただけると信じたいです。もしもそうなれば、この根本的に間違っている案は、通るはずがありません。私から見れば当然ですが、CISPR委員会を通った段階で既定路線通り秋に解禁なんて皮算用していた愚かな人達(含む、一部のマスコミ?)からすれば大どんでん返しです。ですから、前回失望して戦意を喪失してしまった皆さんも、最後の大どんでん返しの主人公になってみませんか?ここでくじけてパブリックコメントを出さなければ、きっと選挙に行かずに開票速報を見るようなつまらなさを感じると思います。パブリックコメントで言うべきことをきちんと言って、良識ある電波監理審議会の審議を見守りましょう。

何か今日は説教くさくなってしまったと反省。若者の言うべきことじゃなかったなぁ。

2006年8月 5日 (土)

うちにもあった電力線フォールデッドダイポール

さて、電力線アンテナコンテストですが、いきなり三部門制覇の最有力候補を見せてしまいましょう。入力ファイル「PLC_FOLDED_DIPOLE_BENT.maa」をMMANAでシミュレートして見てください。

配線図、Plc_folded_dipole_bent_1




輻射パター ン、Plc_folded_dipole_bent_pattern_1




電流分布Plc_folded_dipole_bent_current




もお見せします。 種明かしをしてしまえば、多くのアマチュア無線家の皆さんが以前から指摘されているフォールデッドダイポールアンテナです。スイッチは閉じた状態です。これは、木造二階建ての我が家の二階で見つかったものなので、地上高は2.5mで計算してます。2つのエレメントの角度が直角で、さらにスイッチ側が天井裏から手が届く壁スイッチの高さまでベントされているので、給電点インピーダンスは、通常のフォールデッドダイポールの半分程度に下がってますが、それでも本線から十分VSWR低く給電されます。ベントしているので垂直成分が少しありますが、支配的な水平偏波成分の輻射パターンは典型的なダイポールの8の字に近く、数dBのゲインがあり、打ち上げ角も35度程度と低くなっています。エレメントの寸法は片側3mで、共振周波数は25.25MHzです。電流分布を見ると、両エレメントの電流はバランスしているので、本線のディファレンシャルモード電流だけで駆動されることが分かります。一方の先端は閉じたスイッチで0Ω、他方は照明負荷の100Ω(研究会に合わせて100Wの電球とした)で、一見バランスしていないように見えますが、共振点では、両端は電流最小点なので、照明負荷の影響はなく、100Ωであろうが250Ω(40W)であろうが、同じことです。

前々回は、複数のスイッチ分岐の少し難しい話をしすぎたと反省してます。また、屋内配線の定石(スイッチはホット側に接続)を考慮すると、スイッチ分岐2つで作ったダイポールの例は適切ではありませんでした。複数のスイッチ分岐による輻射は真面目に研究すべき課題ですが、今は時間が無いので割愛します。

スイッチ分岐には、配線形態によってL型とY型の二種類があります。Y型の場合には、単体のスイッチ分岐で、今回紹介したようなフォールデッドダイポールを形成する可能性があります。Y型のスイッチ分岐は、通常の民家ではうちのものと同程度かそれよりも少し小さなものが多いはずなので、フォールデッドダイポールの共振周波数は24MHz~30MHz辺りとなります。結論として、フォールデッドダイポールが形成されていても漏洩電界が許容値を超えないように、ディファレンシャルモード電流の値を規制しなければなりません。コモンモード電流だけの規制では、頭かくして尻隠さず(というか、尻だけ隠して頭隠さず)ということになります。何せPLC-Jの皆さんの必死の主張によると、LCLは30dBもあるそうなので、ディファレンシャルモード電流によって、フォールデッドダイポールのような効率の良いアンテナが駆動されると、しゃれにならないレベルの強電界が発生し、遠距離まで電離層伝播することになります。

2006年8月 2日 (水)

MMANAとNEC2による電力線アンテナのシミュレーション(1)

さて、電力線アンテナコンテストの続きです。シミュレーションのやり方を詳しく書きませんでしたので、少しハードルが高くてまだ試していないという方がおられるかもしれません。

備忘録程度のアップデートしかできなくて申し訳ありませんが、書かないと本当に忘れてしまいそうなので、シミュレーションのヒントを書いておきます。

◆MMANA 対  NEC2 for MMANA
電力線からの輻射を、職場のツールを使わずに、個人的にシミュレートするために急遽探して来たので、実は私もこれらのソフトを使うのは今回が初めてです。なので、勘違いしていることがあるかもしれないので、お気づきの方は是非ご指摘・ご指導をお願いします。

MMANAはminiNECベース、NEC2 for MMANAは文字通りNEC2ベースです。違いとしては、MMANAではインピーダンスの計算にリアルグランドが反映されず完全導体上の計算になります。どちらも輻射パターンにはリアルグランドが反映されますが、導線がグランドに近いところにある場合は、NEC2の方が正確に出るようです。また、NEC2の方は、被覆の誘電率を考慮することもできます。論文に掲載されているデータなどはNEC2で計算したものが多いので、最終結果は可能ならNEC2を使うと良いでしょう。

一方、MMANAには最適化(単純スキャンも可能)など便利な機能があるので、広い周波数範囲のデータを調べるのは、こちらの方が簡単です。GUIも良いので、時間が無ければ、こちらをメインに使う方が効率的です。

◆VVF線の伝送線路としての特性
屋内配線の線材は、研究会に合わせてVVF 1.6mmφ 2芯としました。(他に2mm, 2.6mmなどもよく使われます。) 注意点は、導線の太さは半径で入力するので、0.8mmとなることです。)導線の中心の間隔は3.2mmです。NEC2 for MMANAでは、さらに被覆の半径を1.6mm、誘電率を3とすれば、実際のVVF線に近づきます。(さらに外側の外皮は入ってませんが。)

実際のVVF線には被覆と外皮があるので、その特性インピーダンスを、私は知りません。
職場ではネットアナで計れるのですが、適当なVVF線の在庫がありませんでしたし、職場のリソースは使わないのが方針です。今回は、特にMMANAでは被覆の無い裸導線としてシミュレートすることになるので、その場合のインピーダンスを知っておく方が良いです。シミュレーションでは456Ω程度と出ました。どうやってやるかって?それは、同じ長さLの伝送線路の受端をショートした場合とオープンにした場合の送端から見たインピーダンス(複素数)をかけて、平方根を取ります。
∵ Zshort=Zo tanh(γL),  Zopen=Zo coth(γL), γ:伝搬定数, Zo:特性インピーダンス

NEC2 for MMANAで被覆を先ほどの条件にした場合は333Ω程度になると思います。

いずれにしても、数百Ωであることを覚えておいて下さい。VSWRなども50Ωではなくて、このZoでの値に意味があります。

◆入力ファイル
MMANAの「アンテナ定義」で入力して、「アンテナ形状」で確認します。テキストファイルなので、後でエディターで編集することもできます。実際には、アンテナ確認画面で細部をチェックするのは難しいので、ちょっとノウハウが必要です。それは、実際にシミュレーションして、電流分布を表示させて、不自然なところがないかどうかを複数の周波数でチェックすることです。そうすれば、つながっているべきところがつながっていなかったり、その逆だったりというところが見つかります。(それには、ある程度、電流分布がどうなるかという直感が必要ですが、高周波や無線関係者なら、たぶん大丈夫でしょう。)画面で、導線をクリックすれば、その導線が太く表示されます。ダブルクリックすれば、編集もできます。

◆NEC2 for MMANAでの注意点
リアルグランドでは、地面に接触している導線があると計算できないので、片線アースなどは外します。片線アースの影響は軽いとPLC-Jの皆さんが必死でアピールしてますし、我々はLCLやコモンモード電流でなく、ディファレンシャル電流からの輻射に興味があるので、アース線は無くても良いと思います。むしろ、アース線は、コモンモード電流を強調して、他の効果をカモフラージュするために付けたんじゃないかと疑いたくなるくらいです。

◆高さ
前回見せたモデルでは、研究会に合わせて高さ0mとしてますが、2階なら2.5mとか3mでも良いはずです。輻射パターンやゲインはかなり良く(悪くというべきか)なるので、要チェックです。木造2階建ては我が国では非常に多いですから。

◆スイッチ
私は、スイッチは、R+jXの集中定数としておいて、R=0ΩでON, R=10MΩでOFFを表してます。そうしておくと、MMANAでもNEC2でも、簡単な数字の変更だけでON/OFFできます。

眠いので、つづきは、また明日書きます。

2006年7月29日 (土)

電力線が通信線と同じという大嘘

「LCLが同じなら電力線は通信線と同じだ」 とか、
「漏洩電界はコモンモード電流からしか生じない」 とか、
そんな甘い言葉をあなたは信じられますかぁ~?
というわけで、今日は、PLC許容値案の大前提となっている大嘘を暴いてみたいと思います。

今回のPLC許容値案が、次の2つのことを前提としていることは、総務省の説明でも明らかです。
1.漏洩電界はコモンモード電流からしか生じない
2.漏洩電界が環境雑音レベル以下なら短波帯の受信に影響を与えない

1の根拠は研究会報告書第5章で、徳田教授とPLC技術者たちの研究?が元になっているようです。2は杉浦教授の想像で、特に根拠は無いようです。

電話線などの通信線も、屋内の電力配線に使われているVVF線も、平行2線式の伝送線路とみなすことができます。理想的な伝送線路のディファレンシャルモード電流からの輻射は無視できます。しかし、それはあくまでも伝送線路からの輻射が無視できるというだけです。伝送線路にダイポールアンテナが接続されていれば、そのダイポールからは極めて効率よく輻射が起こります。その電流は伝送線路のディファレンシャルモードから供給されたものです。高速通信線には分岐がないので、ダイポールアンテナが接続されているような状況はほとんど考える必要はありません。これが、通信線では、コモンモード電流からの輻射だけ考えれば良いという根拠です。

しかし、電力線の場合はどうでしょうか?電力線には多数の分岐があります。分岐には大別してコンセント分岐とスイッチ分岐があります。コンセント分岐は、本線からコンセントへの配線で、コンセントに負荷が接続されていなければ、ただのオープンスタブとみなすことができます。負荷が接続された場合は、負荷次第ですが、次のスイッチ分岐に準じて考えることができます。

スイッチ分岐は、照明負荷とそのON/OFFをする壁スイッチが直列に入った分岐です。この分岐は、本線からの一方の線は照明負荷に直接行き、他方は壁スイッチを経由して照明負荷に行きますので、2つの線の経路が異なり、平衡した線路とみなすことはできません。具体的には2本の線に流れる電流の大きさが異なり、その差がコモンモード電流となって、輻射が起こります。しかし、そのコモンモード電流は本線にも流れるので、コモンモード電流さえ抑えておけば十分というのが、研究会の見解のようです。

報告書第5章には、その根拠として、ある簡単化されたモデルについてのシミュレーション結果も載っています。そのモデルとは、本線にコンセント分岐が1本、スイッチ分岐が1本というものです。

Plc_com_fig51

はい、確かに、このモデルのようにスイッチ分岐が1本だけなら、スイッチ分岐のコモンモード電流=本線のコモンモード電流になります。しかし、皆さんの家にスイッチ分岐はたった1本しかないでしょうか?普通の家だと、玄関や廊下、階段なども含めた部屋の数以上はスイッチ分岐があはずです。

スイッチ分岐が2本以上あれば、1本の時と本質的に異なることが起きます。例えば、2本のスイッチ分岐のコモンモード電流が、本線上ではディファレンシャル電流となる場合があります。まさに、ダイポールアンテナへの平衡給電と同じ状況です。研究会の偉い先生方からは、そんなのは特殊ケースで、理論的には考えられても、現実には有り得ないという

Plc_dipole_sym_feed

声が聞こえてきそうですね。

しかし、スイッチ分岐が複数あれば、本線のディファレンシャル電流の一部が、スイッチ分岐のコモンモード電流に変換されることは理論的には自明です。スイッチ分岐が1本しかなくて、モード変換が起こらないという、研究会のモデルこそ、絶対に有り得ない特殊例なのです。住宅で実際に起こることを知りたければ、最低でもスイッチ分岐は2本必要だったのです。

"Make everything as simple as possible, but NOT SIMPLER", Albert Einstein

もっと、一般的に、複数のスイッチ分岐からの輻射の問題を理論的に考察することはできますが、長くなるので、ヒントだけにします。

1.スイッチ分岐のコモンモード電流は、本線上では1次元の複素数の加算になります。当然、弱め合う部分があるわけで、その弱まった分は本線上ではディファレンシャルモード電流になります。

2.一方、複数のスイッチ分岐のコモンモード電流からの輻射は、3次元空間での複素数の加算になります。ある方向で弱め合っても、別の方向では強め合うことになり、全方位角に渡って、弱め合うということはありません。

PLCのところでいくらコモンモードを抑えて、ディファレンシャルだけにしても、途中でコモンモードに変わる部分があるので、意味がないんです。となると、当然、今回提案されているコモンモード電流のみの規制には何の有効性もありません。やはり、基本に忠実に電界で規制するか、あるいは、どうしても電流でやりたければディファレンシャルモード電流も規制しないといけません。ディファレンシャルモード電流でダイポールが駆動されても、漏洩電界が許容値を超えないようにしないといけないはずです。

もう土曜日になってしまったので、意見提出の締め切りまで2週間、サラリーマンには実質4日しか残ってません。材料集めは今週末が勝負です。あなたもNEC2で電力線アンテナのシミュレーションを行って、ディファレンシャル電流から輻射が起こることを実証する科学的データを提出してみませんか?

2006年7月27日 (木)

電力線アンテナコンテスト開催

研究会報告書の第5章を読んで唖然。論理的に破綻してます。結論が明らかに間違ってます。かなり悪質です。こんなものを根拠に、法令を変えたりしたら、手が後ろに回ります。

その解説を延々してたのに、ちょっとした操作ミスで消えてしまったので、それは金曜日にまた書き直します。

この報告書のモデルには意味がないので、そのシミュレーションがあってるかどうかはどうでもいいです。

それよりも、この研究会でネグってしまったことの方が重要です。それは、電力線のディファレンシャルモード電流からの輻射です。

フリーのアンテナ解析ソフト MMANANEC2 for MMANA を使って、電力線をアンテナとして解析しましょう。

ここに、研究会のモデル「PLC_COM_Fig5-1.maa」 と、電力線で作ったダイポール「PLC_DIPOLE_SYM_FEED.maa」 、それに基本素材のVVF線のモデル「VVF16_30m_Loaded.maa」 のMMANAの入力ファイルを置いときます。こいつらで色々遊びながら、電力線のディファレンシャル電流からの輻射を研究して見てください。自宅の配線もシミュレーションしてみてね。

コンテストの部門は、実環境シミュレーション部門:自宅の電力線をシミュレートする、電力線アンテナ創作部門:高利得・低VSWRでディファレンシャルから給電される電力配線を設計する、基礎研究部門:ディファレンシャル電流からの輻射を解明する、くらいかな。

それから、アンテナに詳しい知り合いとかがいたら、是非、ここに連れてきてね。

2006年7月25日 (火)

高周波技術者の憂鬱

今、高周波技術者の間で、総務省の高速電力線搬送通信に関する研究会報告書がちょっとした話題になっている。ことの発端は、MWE2005の打ち上げを中華街の某所でやった時に、いつものごとく高周波回路・無線技術系のマニアックな話で盛り上がっていたら、最近はアマチュア無線で100万もするトランシーバが売れてるらしいという話や、そのスペックが結構凄くて感動したとかいう話の流れで、そういえば最近アマチュアがPLCのことで騒いでるけど、あれって本当のところどうよって話になったと記憶している。高周波技術者にアマチュア無線経験者が多いのは確かだが、ここに居合わせたのは、自分の技術的興味を満足させるために今の仕事を選んだような連中ばかりなので、さすがに今でも趣味で無線やってますというのはいなかった。じゃあ、なんでPLCでその後もひとしきり盛り上がることになったかっていうと、「これって、もしかして、俺たちがやらされんじゃないの?」っていう不安が頭をよぎったからだ。
 なんでそれが心配かって言うと、まず、我々のセンスからすると電力線に高周波入れちゃ電波出ちゃって駄目でしょっていうのがある。だからあんなもんが許可されるはずないとみんな思ってた。ところが、総務省の研究会が何やら共存案とかいうのを作って、パブリックコメントの募集が始まってるらしいということで、そんな馬鹿な、どうしてそんな馬鹿なことになったのかと、あらゆる可能性をビールと紹興酒の続く限り喧々諤々と議論してはみたが、さっぱり分からなかった。(既に酔いが回っていて、議論も堂々巡りだったという話はあるが。)それで、何で困るかっていう話に戻ると、今は高周波の専門家が少ないってこともあって、我々は結構面白いやりがいのある仕事をさせてもらっているという自覚がある。携帯の仕事は殺人的に忙しいが、仕事の内容としては充実している。それなのに、誰かが勘違いして始めてしまったような仕事の尻拭いをやらされるのは真っ平ごめんだ。とにかく、降りかかってくる火の粉は掃わなければならない。
 それで、酔っ払っちまって結論が出なくて、そのままになっていたんだけど、何か知らない間に、電波監理審議会にかけて、法令を変えるってところまで進んじまったようだ。その意見募集を今やってるみたいで、これが本当の最後の最後で、これを通れば、法律で許可されてしまうようだ。そうなると、PLC部門から赤紙が来ちまうかもしれない。しばらくブランクがあったんで、この間のことはおいおい他のサイトで勉強するとして、まずは最後の意見募集に高周波技術者として、きちんとした意見を提出したいと思う。
 方針としては、研究会→CISPR委員会→情報通信審議会→電波監理審議会と、その内容がほとんどそのままノーチェックで使われている研究会の報告書の内容を洗いなおして、高周波的に間違っているところを追及します。ざっと目を通しただけでも、穴は沢山ありそうですが、時間が無いので、本質的なところに集中したいと思います。一人だと手が回らないかもしれないので、腕に覚えのある人は、是非手伝って下さい。プロ・アマは問いません。とりあえず、間違い探しゲームスタート!時間制限は今週末ということで。

最近のトラックバック

2018年9月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30